大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和42年(借チ)2013号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕そこで、右借地権の譲渡により賃貸人に不利となる虞があるかどうかについてみると、本件での資料によると、譲受予定者は小規模な印刷会社を経営するほか、都内に二棟ほどのアパートを所有し月収合計二〇万円位あつて、比較的資力、信用もあると認められるし、本件建物は現在四畳半一〇室、六畳二室余のアパートであるところ、右譲受予定者は右本件建物を譲受けて更にアパート経営に力を入れたいというのであるから、右同人への譲渡により本件建物の利用状況、従つて本件土地の利用状況にも格別の変化をきたすことはないものと認められる。従つて、以上の事実を総合して判断すれば、本件借地権の譲渡により賃貸人に不利となる虞はないというべきである。<中略>

本件で調べた資料によれば申立人は本件土地を賃借するにあたり全く財産上の給付をしていないし、賃料については契約時に三・三平方米当り一カ月三五円と定めたほか、昭和四一年一月一日に五〇円に値上げして現在に至つていると認められるが、本件土地上の建物が前認定の規模のアパートといういわゆる収益物件であるところ、国電王子駅まで徒歩約三、四分の近距離にあることもあつてか、家賃の月額平均収入も比較的に順調であることがうかがわれることを考慮するとむしろ従前の賃料はやや低額であつたと認められるのであつて、右事実に加えて本件賃借権および建物の譲渡代金が七五〇万円であることや、本件土地の位置、環境、従前の経過、その他本件に顕れた一切の事情を考慮し、かつ鑑定委員会の意見を聴き検討した結果、本件の場合には、財産上の給付として申立人から相手方に対し五〇万八三〇〇円(借地権価格の一三%に相当する)の金額を支払わせることが相当であり、賃料についても前認定のとおり現在の三・三平方米当り一カ月五〇円は低額であるというべきであるから、右と同様な考慮検討の結果にもとずき、本裁判確定の日の属する月の翌月から三・三平方米当り一カ月六〇円と定めるのが相当であると判断する。<以下略>(渋川満)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!